☆知ってるようで知らないワークマン研究②
周知のように、作業着業界のリーディングカンパニーとして、また近年は、アウトドア製品や女性向けキッズ向けのカジュアルウェアなどにも進出して、いずれも成功を収めているワークマン。本欄では前回から、ワークマンの意外に知られていない「沿革」について、ご紹介しています。
前回は、ワークマンの第1号店(群馬県伊勢崎市/《職人の店ワークマン》)が産声を上げたのは1980(昭和55)年で、それは「株式会社いせやの一部門としての出発だったこと。
いせやは現在のベイシアグループのルーツとなる企業で、現在、同グループはワークマン、ベイシア(スーパーマーケットなど)、カインズ(ホームセンターなど)、セーブオン(コンビニエンスストアなど)を中核に約30社で構成された「大手流通企業集団」です。
ワークマンは2年後の1982(昭和57)年に株式会社ワークマンとして「分社化」。それ以後のワークマンの発展ぶりは既にご承知の通り。全国展開(今年3月の時点で47都道府県に1011店舗を網羅)を果敢に行い、現在では既存のワークマン以外に、ワークマンプラス(2018年~)、ワークマン女子(2020年~)、ワークマンプロ(2021年~)、ワークマンシューズ(2022年~)、ワークマンキッズ(2024年~)という、ほぼ全世代を対象とする業態が網羅されている。
これはもう作業着メーカーというより、いろいろな意味で総合的なアパレルメーカーとしか表現のしようがありません。しかし、その一方で、前回も述べたように、90年代からワークマンの存在を意識してきた筆者としては、今のワークマンは「ものすごく便利な存在だけど、どこか中途半端な感じがつきまとっているなぁ……」という印象を否めません。
例えば、2023年に「労働寿命の延長を目指す」という触れ込みで設立された「快適ワーク研究所」の存在などは、作業着業界のトップブランドであるワークマンの歴史を活かした、実にワークマンらしさの横溢した取り組みではありますが、正直、それも含めた総合的な印象が、曖昧さに包まれている感じがするのです。
ただ、それは曖昧さというよりも、作業着業界のトレンドが現在「多様化まっしぐら」になっていることの裏返しなのでしょう。
そして、その「業界そのものの多様化」が「さらなる発展への過渡期」なのか「拡散化への前兆」なのかは分かりませんが、ワークマンはトップブランドとして、それを全面的に体現せざるを得なくなっているということはあるのではないでしょうか。
いずれにしても、ワークマンにはトップブランドとして、ここを踏ん張り通していただいて、作業着業界の「さらに新たな地平」を、ぜひ構築していただきたいものですよね。
心からのエールを込めて、ワークマンのさらなる発展を祈念したいと思います。
☆制服・作業服の長命化に関する実証事業
株式会社BPLapは、10月18日付でプレスリリースを発信。「企業制服・作業服を長命化するリペアサービスに関する実証事業(サーキュラーエコノミーあいち【リペアプロジェクト】)を開始します」と表明しました。この興味深い事業の詳細は次号でご紹介します。