初任給

建設・電設業界ザッピング  業界ニュースをクローズアップ42

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建設現場は若者たちにも魅力的な職場であるはずだ

◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします

厚生労働省が先般発表した「令和2年度賃金構造基本統計調査」によれば、昨年の大卒新入社員の初任給の平均額は、男子が21万2800円、女子が20万6900円でした。

また会社規模別にみると、最も初任給の平均額が高かったのは従業員1000人以上の企業で、初任給の平均額は男子が21万5900円、女子が20万9700円でした。同じ大卒新入社員なのに男子と女子の初任給の額に差があることの問題や是非については、この際、措いておくとして、従業員1000人以上の企業の女子社員の初任給20万9700円は、従業員99人以下の中小企業の男子社員の初任給20万6000円より高額になっていることは、別の意味で注目されます。

それはそれとして、次に産業別初任給(厚労省では16部門別に統計している)をみてみますと、一番高いのは「学術研究、専門・技術サービス業」の21万9800円(男女の平均)です。逆に最も低いのは「複合サービス事業」の18万4900円です。

ここでいう「複合サービス事業」とは郵便局の局員や協同組合等の職員などを指します。

両者はスタート時点で約3万5000円もの格差がすでに生じていることになります。その背景にはそれなりの理由があるのでしょうが、スタート時点でのこの差はちょっと大きいといわざるをえない印象です。

我らが「建設業(電気設備工事業も含む)」はといえば、16分類のうちの上から4番目、21万6700円となります。1000人以上の従業員を有する企業の男子の平均初任給21万5900円をも上回る水準で、これはこれで納得できます。

また大卒10年目の平均年収を比較すると、全産業の男子社員の平均が439万2400円ですが、トップは建設業の537万7300円です。

建設関連業種(電気設備工事業も含む)は、入社するときの初任給も高水準ですが、入社後10年間の伸びは全産業中のトップクラスということが改めて証明されています。

これからの就活戦線において、このデータはもっとアピールされてもいいように思います。

新型コロナ下の就職は学生たちにとって、何かと不安要素が多いことは想像に難くありませんが、建設関連業種の収入面での相変わらずの安定ぶりは、きっと好感度が高いポイントになるはずです。

鹿島とユビテックは6月3日、建設作業現場における作業員の体調管理に効果的な安全衛生管理システムの開発に共同で取り組むことを発表しました。

熱中症による体調の変化を中心に、さまざまな角度から体調管理のできるシステム構築を目指す取り組みです。

さらに新型コロナの収束度によっては、引き続き夏場のマスク使用など、作業員の体調管理には難しい局面がこれからも出てくる可能性が高く、熱中症への対処も多角的な取り組みが必要になってくることが予測されます。

そういう意味合いからも、鹿島とユビテックの取り組みは注目されます。

大成建設と国立国際医療研究センターは、集中治療室(ICU)などでの活躍が見込まれる医療機器遠隔操作ロボットの開発に成功したことを、6月7日付けで発表しました。この医療機器遠隔操作ロボットは、とくに新型コロナウイルスに感染した患者などへの対処をする際に、なるべく医療従事者が危険にさらされることなく作業ができることを第一義に考えた製品で、その効果が注目されます。(以下、次号に続く)