◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
インターネットサイト@DIMEは1月21日、「建設業界でシニア世代に任せたい仕事TOP3」という興味深い記事を配信しました。
この記事はJAGフィールド社が実施した、シニア世代(60歳代以上!?)のベテラン建設従事者に対する意識調査の結果をまとめたもので、回答者は1062人の建設会社経営者だそうです。
その結果(回答は複数回答OK)を先にご紹介すると、56.8%の経営者が「若手世代の育成や教育」でした。さらに「施工管理(41.0%)」「工事監理や品質管理(289.8%)」「安全巡回や現場管理(26.8%)」「建築設計(17.7%)」と続きます。
それについての具体的な理由としては「シニア世代は若手の教育がうまい」「シニア世代は危険予測ができて安全に仕事ができる」「シニア世代は現場の状況に応じて臨機応変に対応してくれる」「シニア世代は知識が豊富で作業時間が短縮される効果をもつ」などの項目が挙げられています。
また「建設業界に年齢は関係ありますか」の質問―の回答は「関係ない」が6.5%、「どちらかといえば関係ない」が12.2%との結果が出ています。
換言すればこれは「建設業界には年齢が関係ある」と考える経営者が、実は圧倒的に多いということにもなります。
これらの回答を突き合わせると、シニア世代の活用や活躍といった国のキャッチフレーズは、建設業界においてはちょっと旗色が悪いともいえます。
シニア世代の活躍できる部署は「教育部門」や「安全管理部門」などにはそれなりにあるけれども、現場での仕事は無理だと考えられているのが大勢だということになります。
実際、これが現実というものなのでしょうが、もちろんこれは「経営者の考え方の最大公約数」ということであり、「そのようには考えていない」「シニア世代でも現場仕事で活躍できる場面はある」と考える経営者が皆無ではないといえます。
ただその一方で、「シニア世代が現場にいると安心できる」と回答した経営者が「どちらかといえば安心できる」とした回答と合わせると計90%以上になります。
また、シニア世代の採用を増やしている会社は回答者の40%を超えているのです。
してみると、現場にシニア世代がいると安心感があるのだけれども、現場仕事はあまり向いていないと考える経営者が少なくないということになるでしょうか。このあたり、建設会社におけるシニア世代の活用の仕方がまだ定まっていないという印象があります。
では、同じ建設現場でも「電気設備工事」についてはどうなのでしょうか。
それを調査した最近のデータが手元にはないため、なんともいえませんが、建設現場と電設現場では少し事情が違うように思われます。
なによりも電工さんにしても、現場代理人にしても国家資格をもつ人材が100%だというのが、電気設備工事に従事する人の基盤です。体力的に若手より落ちていても、国家資格に準拠した技術力はよほどのことがない限り(仕事を続けている限り)衰えません。スピード感は落ちるかもしれませんが、確実性という意味ではシニア世代のほうが「慎重な分、優れている部分」もあるかもしれません。
そのような観点の調査はなかなかまとまった形でされていないのが現状です。本紙では追々、そんな調査もしていきたいと考えています。
2月6日付けの弁護士ドットコムニュースによれば、建設現場で働いている人の声として「事務職だけリモートを導入することについて、現場で働く人たちから不満の声が上がっている」という意見が、弁護士ドットコムニュースにも寄せられているそうです。
このニュースについては、次号で少し掘り下げていきたいと思います。