◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
今年9月1日、仙台市に「TKM PCR検体採集センター」という名称の企業が誕生しました。
河北新報やKHB東日本放送などの報道によれば、同社は仙台市に立地する電気工事会社・産電工業(高橋昌勝社長)の関連会社。
同社では新型コロナウイルスの感染の有無を調べるのに必要なPCR検査を手軽に受けられるようにするべく、検査を希望する企業や個人宅を訪問。希望者の検体(唾液)を採集し、それを同社と提携する日本微生物研究所(仙台市)に検査してもらう仕組みを構築しています。
産電工業は1952年に設立。電気工事業を中心に配電盤製造、機械設備部門などを設け、長年にわたりインフラ設備事業を幅広く展開してきました。また無償の「コロナウイルス追跡システム」を開発・提供するなど、数々の社会貢献事業を展開しています。
今年2月には事業本体の業績とともに、幅広い社会貢献事業の実施などが評価され、「第8回富県宮城グランプリ」(県産業の発展や地域経済への貢献が著しい団体に授与)の最高賞を受賞しています。
「TKM PCR検体採集センター」の設立は、新型コロナのリスクを伴いやすい労働集約型産業である建設・電設関連の企業はもとより、出張や旅行で大勢の人と接してきた人などの検査受診を促進するためのアシスト役として、大きな期待を受けているとのこと。こういう会社、東京にも欲しいですね。
次はこれからの時代に必要度が増しそうな優れモノ・ロボット開発研究の話題です。
MONOist「医療関連ニュース」によれば、それは「寝たきりでも手先を使った接客を可能にする合体型分身ロボット」です。
すでに超高齢化社会に入っている日本では、寝たきり高齢者のさらなる急増が懸念されています。また重度の障害者は、就労するなど夢のまた夢というのが、これまでの常識でした。
しかし、このプロジェクト(テレバリスタプロジェクト)が完成を目指すのは、そうした寝たきりの人でも、重度の身体障害を持つ人でも、細かな手作業や接客を可能にするロボットの創造です。
開発を行うのは川田テクノロジーズとオリィ研究所。両社は共同で合体型分身ロボットの開発を行います。そしてプロジェクト名「テレバリスタプロジェクト」には、寝たきりの人でも重度障害者でも視線入力などによるロボットの遠隔操作で、バリスタのような細かな手作業が可能になる――という意味が込められているようです。
多様な国の人が交流する多文化共生の時代を超え、ロボットと人類が本格的に共生する時代がやってくるのも、そう遠いことではないのかもしれません。
9月18日付け日刊建設工業新聞オンラインには、鴻池組とニシオティーアンドエムが、AI画像識別を活用した重機と人との接触防止システムを共同開発したという興味深いニュースが掲載されています。
このシステムでは、重機の周囲(警戒域)に人が近寄るとAI画像識別が感知してまず警報を発令。さらに危険域に人が近接すると、自動的に重機の作動を停止するという2段階の仕組み(人物段階検知システム)をもっており、さまざまなタイプの建設現場でかなり重宝されそうです。
同システムのベースになったのはニシオティーアンドエムが開発した重機接触防止装置「人物検知システムHADES」で、そこへ多様な機能を付加し、より緻密な人物検知が可能になったとされます。
現場の安全がより一層進化しそうな、素晴らしい取り組みです。