◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
9月7日付け朝日新聞ウェブ版に「津波被害の防波堤で波力発電開発中 目指すはエネルギーの地産地消」という記事が出ていました。
同記事によれば、甚大な津波被害を受けた岩手県釜石市の釜石湾に震災後に構築された長大な防波堤を活用、防波堤の上に設置した発電施設内で、「波の上下や斜めの揺れなどでダクトを通った空気の動きを利用してタービン発電機を回す」仕組みのなのだとか。
しかも「AIを使って波の高さを予測、制御しながら効率よく発電機を回転」させるといいます(事業主体は株式会社マリンエナジー)。
当面の目標は、一般家庭83世帯分の電力使用量(33万3000kw/h)を賄うことにあるそうですが、この試みが成功すれば、同様の被災地での発電はもとより、海に周囲を囲まれた日本全体で役に立ちそうです。
従来から研究が進められてきた「潮力発電」全般においても、実現のための新たな起爆剤になるのではないでしょうか。
9月11日付け神奈川新聞ウェブ版《カナロコ》によれば、過去に犯罪を犯した大人や青少年の社会復帰に向けたプログラムの一環として、NPO「神奈川県就労支援事業者機構」が電気工事業を始めとする各種の業種体験の機会を提供して、好評を博しているとのこと。
電気工事業のほか、建設業、介護、理美容、造園、農業など、そのプログラムは多岐に渡っています。また、いずれも資格や熟練した技術が必要な職種ばかりであることからも、長期的な視野に立った生活設計の再構築を図ろうとしている人たちには、非常に有効なキッカケになりそうなことが推測できます。
体験は2日間、一日3~4時間程度とごく短いものではありますが、キッカケづくりには時間の多寡は関係ありません。
中でも電気工事業が、そうした人々の社会復帰を後押しできる世界であることが、こうした事例からも発信できたら、素晴らしいことだと本誌は考えます。
清水建設はこのほど、オフィスなどで使うための自動配送車を開発したとのニュースをリリースしました。
この配送車は荷受けから荷下ろしに至る館内配送を無人で行うもので、清水建設の公式サイト・ニュースリリース欄によれば「ユーザビリティの高い荷受け・荷下ろし機構、自動配送ルーティング機能、建物設備との連携機能を備えた自動走行ロボット」とのこと。
新型コロナウイルスの感染症拡大が収束していない現在、人と人との接触をなるべく少なくするための技術開発の一環といえます。
もちろん、これはこれで素晴らしい技術だとは思いますが、新型コロナが収束したとき、自動化が進み過ぎて、人力はもう要らない――などということにならなければいいですね。
それは冗談半分ですが、新型コロナ禍を契機に、あちこちで「脱・人力」の進化が著しいような気がして、なんだか心配になってきます(笑)。
東急建設ではこのほど、ウェアラブルセンサーによる「熱中症予防管理システムを開発」したとのニュースをリリースしました。
体に付けたウェアラブルセンサーからの体温情報などのデータを解析し、危険な兆候が少しでもあれば水分補給の指示を出したりして熱中症の発症を抑える「熱中症予防管理システム」。今年8月から実証実験を開始したとのことですが、その詳細な成果の発表が期待されます。