◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
先週号の本欄では、今年(2021/令和3年)4月1日以降に第一種電気工事士免状の交付申請を行う人は、合格者に必要とされる実務経験が従来の「3年以上/大学・高専電気工学系卒」「5年以上/それ以外」という規定を改め、学卒等の条件なしで一律「3年以上」へと短縮されるという制度改正(2月10日経産省発表)について、触れました。
ニュースとしての時期はそれより少しさかのぼりますが、この新たな制度下でさっそく第一種電気工事士免状の交付申請を行う対象者となるのが、今年1月29日発表の「令和2年度第一種電気工事士技能試験」に合格した人たちです(試験は昨年12月20日、全国52試験地で実施)。
今回の技能試験の受験者数は21,162人。そのうち合格者数は13,558人でしたので、合格率は64.1%ということになります。まずまず例年並みの合格率および合格者数といえます。
新型コロナ禍の情勢下において、電気設備工事は堅調な実績を挙げ続けており、多少の紆余曲折はあっても、電気設備工事の需要は幅を広げながら推移することが予測されます。
半面、電気工事業を志望する人の数は減少化傾向を免れていません。そうしたなか、腕利き技術者の代名詞の一つともいえる第一種電気工事士がコンスタントに誕生し続けていることは、心強い限りですね。
さて、ここからは先週号の続きです。
新型コロナ禍において、物販関係では全体に売り上げを落としていますが、一方では、新型コロナとの共生を前提とした場合に必要とされる業種や製品が好調です。
たとえば家電業界が今、いわゆる「白モノ家電」を中心にかなり売り上げを伸ばしているようです。
おウチ(家)時間が長くなっていることから、食糧備蓄のための大型冷蔵庫が人気となり、ウイルス除去のため高性能洗濯機の売上も上昇中です。
さらには室内の空気を常に清新にたもつ「必須アイテム」として人気の空気清浄機、エアコン、換気扇、高性能掃除機などなども人気です。
そうした傾向の端的な表れとして先週号で少し触れたのが《換気扇人気》でした。高性能換気扇は、全体に不振をかこっている外食産業においても、空気清浄機やエアコンとともに、売上復活のための「キー・アイテム」の一つになっているようです。
また、そうした流れの中で昨今、外食産業のなかでも人気を高めているのが焼き肉屋さんだといいます。各種のニュースで紹介されているので周知の方も多いことでしょうが、その人気の秘密が「換気システム」なのです。
確かに新型コロナの騒動が起こる以前から、焼き肉屋さんに高性能換気システムは付き物でした。
それは室内に焼き肉を焼く際の煙を充満させないことと、客の衣服や髪の毛などにニンニク交じりの焼き肉独特の臭いを付けさせないための店側の配慮でした。逆にそうしたシステムがないと女性客や家族づれが寄り付かなくなるということから、焼き肉屋さんは従来からおしなべて、換気システムとしてはかなり高水準のレベルを保っていました。
そうした歴史の積み重ねが、新型コロナ禍における脚光を改めて浴びる結果をもたらしているわけです。
新型コロナという「不慮の状況」は、一方で「何が幸いするかわからない状況」をも、もたらしているといえるでしょう。