◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
今週はちょっと前めのニュースになりますが、新型コロナの影響で日程が延期されていたものの、11月14日に愛知県国際展示場(常滑市)で開催された「第58回技能五輪全国大会(主催/中央職業能力開発協会)」を振り返ってみたいと思います。
技能五輪全国大会はご承知のように、国内の青年技能者(U23)を対象とする各種技能(電気工事/電工を始めとする60種以上)の日本一を決める競技会です。中でも成績優秀な技能者は毎年開催される技能五輪国際大会に日本代表として派遣され、日本代表は歴代、優秀な成績を収めてきました。
今年の「第46回技能五輪国際大会」は9月に上海で開催される予定でしたが、新型コロナの影響で2022年に延期されています。そのためモチベーションの低下もわずかに心配されましたが、報道によると、出場した44選手はいずれも渾身の技術力を発揮。むしろ例年以上の熱気に満ちた会場風景となったようです。
さて、この時期に技能五輪の話題を改めて掲載させていただいたのには理由があります。技能五輪を始めとする各種の技能競技大会はそのつど、YouTubeなどで動画が閲覧できるようになっています。
しかし、そうした動画においても、電気工事の様子に関しては、選手の頑張りぶりはうかがえても、その技術のどこが優れているのかといった「肝心」な部分が、外からはなかなか見えにくいきらいが以前から指摘されていました。
本紙ではこうした気鋭の電気工事士たちの技術的な水準の凄さを、たとえば最新のCG技術を使って一つ一つ分かりやすく可視化していき、ゲーム的な要素なども加えて、カラフルに再現してみたらどうかとかねがね考えていました。
たとえば全日電工連などの技能者の技術力を中心とする企業の全国組織が、電気工事士の技能の素晴らしさを対外アピールする手段としても、こうした方法は有効ではないでしょうか。
とりわけこれから電気工事を学ぼうとしている世代の若者たちへのアピール、次世代育成のためのイメージ戦略などの目玉施策の一つとしても、ぜひご検討をいただければと思います。
さらにあわよくば、そうした動画をみて興味を持ったゲーム開発会社が、電気工事の基礎的な配線技術などをテレビゲーム化してくれたりしたら、電気工事に興味をもつ子どもたちを掘り起こすことができるかもしれません。さらにはシミュレーションゲームとして工業高校や専門学校などの教材にすることも可能なのでは? ぜひ期待したいですね!
と、そんなことも考え、この時期にあえて技能五輪全国大会の話題を改めて掲載させていただきました。
次は国土交通省が先ごろ発表した、同省の直轄工事における「遠隔臨場」の話題から。遠隔で施工現場を確認できる「遠隔臨場」は、新型コロナ下で急速に注目を集めつつありますが、2020年度に入ってから9月末までの国交省直轄の現場(整備局・北海道開発局・内閣府沖縄総合事務局)において計560件あったそうです(現時点で実施中は449件)。
今年度初めの試算では100か所程度が予測されていたそうですが、建設現場では予測以上に新型コロナ対策が進んでいることが、この「遠隔臨場」の導入の多さからも想像されます。
ロボットの活用などと同時に「遠隔臨場」が進化していけば、人手不足解消にも効果を発揮していくこと必定ですが、従来よりもヒトが介在しない現場が増えていくことのいろいろな意味(否定的な意味も含む)での「効果」も、併せて検討していくことも必要かと思われます。そんなことから、次週の本欄では「遠隔臨場」の現況を、少し集中的・多角的にピックアップしていきたいと思います。