テレワーク 新型コロナウイルス

建設・電設業界ザッピング  業界ニュースをクローズアップ24

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テレワークが日本の産業構造を変えるか!?

◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします

新型コロナウイルスによる感染拡大が相変わらず続いていますが、ご承知のように国土交通省は1月15日、従来の1都3県に加え、2府5県が緊急事態宣言対象エリアに追加されたのを受け、地方自治体、建設業者団体、民間発注者団体に対し、公共工事や業務(河川、道路などの公物管理業務)における「適切な対応」を改めて要請しました。

具体的には「感染拡大予防ガイドライン」に基づく措置の他、テレワークによる出勤者の7割減や時差出勤の推進などですが、大元の公務員のテレワーク推進の動きが鈍いのをみてもわかるように、単なる要請だけで効果が上がるのか否かは予断を許しません。

いずれにせよ、緊急事態宣言の発令される地区が今後さらに増える可能性は高く、これまでの要請がさらに厳しいものになることも織り込まざるを得ない現況といえるでしょう。

東京商工リサーチがこのほどまとめた「全国企業倒産集計」によれば、2020(令和元)年における建設業の倒産件数は1247件で前年比13.6%減、負債総額1093億1500万円(前年比25.3%減)となりました。

倒産件数、負債総額ともにここ30年間では最小ですが、2020東京オリパラやその効果として期待されたインバウンド景気への予測などに基づく建設計画が2019年に引き続き2020年も集中していました。

さらに2020年は新型コロナ禍における中小零細企業支援策が奏功し、中小零細企業の倒産が抑制されたとの見方もあります。また倒産原因の種別では相変わらず「人手不足」が100件(そのうちの85件が後継者難)で最多となっていますが、「新型コロナウイルス関連」が62件で続いています。

人手不足と新型コロナ禍はどちらも克服のための決定打がないという点では共通しており、今後は新型コロナが要因となっての人手不足という側面も出てくる可能性があります。そういう意味では先行きの不透明感は近来まれにみる状況といえるのかもしれません。

同じことは電気設備工事業者にもいえますが、今後数年間はこうした状況にも対応できる、業者個々のいろいろな意味での基礎体力と体質の柔軟性が、重要になってくるのは間違いなさそうです。

ニッセイ基礎研究所が1月4日付けでリリースした、アメリカにおける新型コロナ終息後の在宅勤務に対する、アメリカ人労働者の意識調査研究によれば、なんと半数以上が「在宅勤務を継続したい」という希望を持っていることがわかったそうです。

アメリカの労働統計局の調査では新型コロナを原因とする在宅勤務者の数は昨年5月の時点で全就業者数の35%以上に当たる4870万人、11月時点でも3274万人(全就業者数の21.8%)だった由。

アメリカではテレワークに移行しやすい情報産業や金融業の従事者のうち40%以上が在宅勤務であるのに対し、建設業従事者による在宅勤務者は8%しかおらず、日本と同様の傾向を示しています。

接客が基本になっている飲食業や宿泊業などの従事者よりは、建設関連従事者のほうが若干、在宅勤務理知は上回っていますが、情報産業や金融業などに比べれば似たようなものといえます。

しかし、日本においては、新型コロナをキッカケに建設関連業種でも在宅勤務やリモートによる仕事の進行が可能な「働き方改革」が進みつつあることから、建設関連業種に限っては、アメリカともまた違った傾向が今後出てくることも考えられます。

新型コロナ禍によるマイナス要素を数え上げればキリがありません。けれども、マイナスは常にプラスの裏側であるという法則性を考えれば、新型コロナを契機にした「躍進」「改革」「多様化」の種をいかにしてつかむかが、今後の業界企業のある種の帰趨を決めていく可能性もあるのではないでしょうか。