◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
人材派遣会社JAGフィールドの建設会社を対象にした「高齢者雇用安定法改正」に関連するアンケート調査によると、約80%の建設会社が「65歳までの定年引き上げ」の義務化を把握し、そのうちの70%がすでに65歳定年制へと舵を切り始めているようです。
半面、今回の改正をまったく知らなかった建設会社は6%弱。もともと高齢でも技術的に優れた人材への再雇用を積極的に行ってきた業界であるだけに、法改正に対する関心もかなり高いことが分かります。
ご承知のように今回の法改正では、企業の努力義務として、70歳までの定年延長や再雇用制度の導入、さらには「定年制廃止」への努力義務も盛り込まれているなど、かなりドラスティックな文言が目立ちます。
ただ「努力義務」というのはあくまでも企業に委ねられた措置であり、あまり実効性に繋がらないケースが多いことは、これまた周知の通りです。
とはいえ、人材不足の進捗しつつある現在、確かな技術力を持った高齢者が身分保障されることは、若手人材の業界への誘導ということを考えても、悪くない方向性といえます。
したがって、こうした方向性を単なる企業の努力義務で終えるのではなく、業界を挙げて、推進していけるような仕組みづくりをする必要があるのではないでしょうか。
しかも、それを行うには業界団体の枠を取り払ったワンチーム的な取り組みが重要です。
団体の枠を易々と超えて、業界全体がいい方向に行けるよう、利害の相反する団体をも繋いでいけるような「令和の坂本龍馬的」な人材が電気設備工事を含む建設関連業界にいたらと夢想せずにはいられません。
日本ラグビーの最高峰「トップリーグ」のプロ化が実現した現在、先年のワールドカップの余韻も手伝って、ラグビー専用競技場の話題が以前より増えています。写真の熊谷ラグビー場もそうした事例の一つですが、新国立競技場と前後して、計画が進められてきた「新秩父宮ラグビー場」(神宮外苑)を軸にしたラグビータウンの話題が徐々に盛り上がりつつあります。
昨年初めの段階では新秩父宮ラグビー場を含めた周辺の整備計画は約4万3900㎡でした。それがワールドカップ後のラグビー人気もあってか、延床面積は倍に近い約7万6700㎡に拡大されました。
新型コロナという思いがけない要素が加わって、ラグビー人気はワールドカップ後の勢いを保つことができていませんが、だからこそ、この新秩父宮ラグビー場の拡大計画には期待したいものですね。
本誌今週号のプチ特集(P8-11)でも取り上げている常盤橋タワーが竣工したのを機に、7月19日に内覧会が行われました。
プチ特集では触れませんでしたが、常盤橋タワー内にオフィスがある就業者には「就業者専用アプリ」が付与され、セキュリティゲートの出入りや就業者専用フロアなどでは、スマートフォンにダウンロードされたこの就業者専用アプリがフル稼働します。
ちなみに常盤橋タワーと2027年に竣工予定のTORCH TOWERに共通するシンボルはTORCH(灯、松明)。整備計画の大元・三菱地所では同プロジェクトをまさに「世の中(日本)を明るく元気にするプロジェクト」と位置付けていますが、東京駅前の常盤橋に出現した常盤橋タワーが、日本のビジネスシーンに新たな灯を点火するキッカケになるかどうか。
本紙では引き続き、今後の推移を注意深くウォッチングしていきたいと思います。