◇今週も建設・電設関連の話題をお届けします
緊急事態宣言の最中の8月17日、民間シンクタンクのパーソル総合研究所が発表したテレワーク実施状況の調査(実施日は2020東京五輪開催期間中の7月30日~8月1日)によると、正社員によるテレワークの実施率は全国平均で27.5%だったそうです。
パーソル総合研究所は同様の調査を昨年11月にも実施していますが、オリンピックも始まっている約1年後となった今回の調査での上昇は、わずか2.8ポイントに過ぎませんでした。
47都道府県で最もテレワーク率が高かったエリアは東京(47.3%)ですが、東京も昨年11月に比べ1.5ポイントの上昇にとどまったとのこと(昨年4月の調査に比べるとむしろ1.8ポイントのマイナス)。
かくして同調査では、緊急事態宣言もオリンピックも、テレワーク率の上昇には効果がなかったと結論づけています。
テレワークには「なじみやすい職種」と「なじみにくい職種」が厳然としてありますが、採れワーク率が最も高い職種は「情報通信業」で60%。職種からいって当然と言え当然ですが、やはり座業が多い「学術研究、専門・技術サービス」が41%、「金融業、保険業」が36%で続いています。
建設業はやはり、元来が現場仕事中心であるため「テレワークがなじみにくい職種」であることから、今回の調査では24.2%と全国平均以下でした。しかし上昇率は8ポイントと、かなり健闘しています。各社の懸命の努力ぶりが想像されます。
そして、あらゆる職種のなかで最もテレワーク率が低い職種は「医療・介護、福祉」で、実施率は11%。
テレワークの必要性が喧伝されるようになったのは、そもそもが新型コロナウイルスの感染症拡大によるものであるわけですが、医療・介護・福祉に関連する職業に従事している人々は、新型コロナウイルスの感染者も含めた「困っている人々」に直接会い、その人々への支援をすることを第一義にしている職種に就いています。
そういう人々が新型コロナ禍を避けるためのテレワークから最も遠い場所、つまり、最も安全でない(危険な)場所で仕事をしているのです。
そのことが改めて、しかも如実に分かる調査結果だったといえます。医療従事者、介護従事者、福祉従事者の人々にはまさに頭が下がる思いがします。
インターネットメディア「BUILT」が8月30日に配信した「現場の熱中症リスクを軽減するユニフォーム導入、矢作建設工業」という記事は、とても興味深いものでした。
矢作建設工業がSDGsの観点から、現場作業者にハーフパンツのユニフォームでの作業を推奨しているというのです。従来の常識でいうと、ハーフパンツで現場作業というのは、安全性の面からちょっと考えられません。しかし、昨今の夏場の建設現場の安全面においては、熱中症対策が非常に大きな比重を占めるようになっています。
そこでハーフパンツの推奨ということになったわけですが、ハーフパンツの下には通気性のあるインナーパンツを組み合わせるのだそうです。
写真を見ると、ハーフパンツとインナーパンツ(タイツ状)の組み合わせに安全靴、さらに上半身はファン付きの半そでジャケットを着用するという感じで、非常に軽快です。
作業の種類や状況にもよりますが、このいでたちはむしろ電気設備工事の作業にも合うかもしれません。この話題、少し詳しく追ってみたいと思います。