☆3Dプリンタ建設のビッグニュース!?
建設関連の情報サイト「ITmediaエグゼクティブ」(9月5日付)によると、建設の遅れが懸念されていた関西万博のパビリオン事情に、新たな動きが出ているようです。
3303号・本欄にて、ロボット施工による住宅建設を推進するセレンディスク株式会社(兵庫県西宮市)が、日本初の「2人世帯向け3Dプリンタ住宅」(鉄骨造1LDK50㎡タイプ)を、愛知県小牧市で竣工し、その建築時間はわずか44時間30分だったというニュースをお伝えしました。
セレンディスクによると、概要設計・コンセプトは慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センター、実施設計・デザインは益山詠夢(宮城大学准教授、慶應義塾大学SFC研究所上席所員)、構造設計は株式会社KAPの陣容で完成した住宅は、今後、550万円で販売を予定しているとのこと。さらに11月には、70㎡の3Dプリンタ住宅の販売も予定しています。
このセレンディスクの「安くて早くて高機能」の3Dプリンタ住宅の素晴らしさに着目した数か国の関西万博参加国から、3Dプリンタ住宅の手法でパビリオンを建設できないかとの問い合わせが寄せられたというのです。
これを受けて、セレンディスクではこのほど、「オールジャパン体制による3Dプリンタ・パビリオンの建設を受注し、遅れている関西万博のパビリオン建設問題の解決策としたい」との提言を行いました。
関西万博のパビリオン建設の遅れについては、本欄でも既報したように、関西万博協会から「2024年春実施の時間外労働規制の一時的な撤廃」を要望する声なども上がっていますが、住宅建設ならわずか数日で完成できる3Dプリンタでパビリオンを建設したら、確かに工期も短縮できます。
建設計画の遅れに直結している資材の高騰問題や、人材不足の問題も解決する可能性があります。
昨今流行りのグランピング住宅はもちろん、2020年には、メキシコのカナコ内トドスサントスにて、リゾート高級ホテルの建物が、3Dプリンタで建設されたというニュースも記憶に新しいですよね。
同様の動きは世界各地で少しずつ始まっており、ここでもし、関西万博という世界が注視する大イベントのパビリオンが、何棟にもわたって3Dプリンタで建設される事態が起これば、かなりの反響を呼ぶことになるでしょう。
セレンディスクが提唱しているように、オールジャパン体制で取り組む価値は、十分にあるように思われます。
ちなみにメキシコの高級リゾートホテルは、24エーカーの敷地内に、80室の客室が備わっているとのこと。
こうした先行事例を、さらにブラッシュアップした建築物をパビリオンとすることは、常に「夢の新技術の発信」を行ってきた万国博覧会の趣旨にも適うものといえます。
通常の手法で建てられたパビリオンのなかに、3Dプリンタで建設された、極度に個性的なパビリオンが点在する様子は、まさに万博にふさわしい未来的な風景といえます。
いずれにせよ、建設業界全体においても、新たなトレンドとして3Dプリンタ建設の流れは、遠からず訪れてきそうですねぇ。